派遣社員に交通費(通勤手当)が出ないのは労働契約法第20条違反?


労働契約法第20条とは、派遣社員や契約社員・パートなどの有期契約で働いている人と、正社員などの無期契約で働く人との間で、賃金や手当・福利厚生など労働条件に不合理な差をつけることを禁じる法律です。
ただし、労働条件を何でも同じにしなければいけないというわけではなく、“労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(職務の内容)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。”として仕事内容・業務責任によっては労働条件に差があることを認めています。

 

この労働契約法第20条に基づき、正社員と契約社員で通勤手当などの労働条件の違いがあるのは違法だと訴えた裁判があります。

企業側は正社員には配置転換の可能性があるため正社員と契約社員で通勤手当に差があるのは不合理ではないと主張しました。
しかし、判決では“通勤手当は、会社に勤務する労働者が通勤のために要した交通費等の全額又は一部を補填する性質のものであり、通勤手当のかかる性質上、本来は職務の内容や当該職務の内容及び変更の範囲とは無関係に支給されるものである。”として「不合理と認められるものとして契約社員の方の訴えが支持されました。

この企業は、裁判を通じて契約社員にも正社員と同条件で通勤交通費を支払うようになりました。
(ハマキョウレックス事件:平成28年7月26日大阪高等裁判所)
参考サイト

 

この判例を考慮すると、派遣社員に交通費(通勤手当)が出ないのも労働契約法第20条違反の可能性が高いです。
多くの派遣会社(雇用主)では正社員や無期雇用派遣などの無期契約労働者には交通費(通勤手当)を出しているため、派遣社員(登録型派遣)だけ交通費(通勤手当)が出ないのは不合理といえるでしょう。
(派遣社員の雇用主は派遣会社なので、比較対象は派遣先企業の正社員ではなく派遣会社の正社員となります。)
実際、厚生労働省も下記のように告知しています。

派遣社員にも交通費(通勤手当)が出るよう早く是正して欲しいです。

 


参照:【PDF】平成27年 労働者派遣法改正法の概要 (P17より)|厚生労働省

通勤手当の支給に関する留意点

派遣元事業主に無期雇用される労働者と有期雇用される派遣労働者との間における、通勤手当の支給に関する労働条件の相違は、労働契約法第20条に基づき、働き方の実態や、その他の事情を考慮して不合理と認められるものであってはなりません。


有期雇用される派遣労働者の比較対象は、同じ派遣元に無期雇用される労働者です。
この無期雇用される労働者には、いわゆる正社員や、無期雇用の派遣労働者など、すべての無期雇用の労働者が含まれます。


 


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